損害保険の基礎知識

損害保険とは

損害保険とは、大勢の人が保険料を負担しあい、偶然の事故や災害等で損害を被ったときに保険金が支払われる保険です。

生命保険は契約で定められた額が支払われる定額払いですが、損害保険では原則として実損害額以上の保険金を受け取ることができない(利得禁止の原則)ため実損額払いであることが特徴です。

基本用語

関係者

  • 契約者:保険料の支払い義務のある人
  • 被保険者:保険の対象となっている人
  • 受取人:保険金等を受け取る人

お金

  • 保険料:契約者が保険会社に払い込むお金
  • 保険金:受取人に支払われるお金
  • 保険価額:保険の対象の時価額
  • 保険金額:受取人に支払われる契約金額で保険金の限度額

火災保険

火災保険とは、火災落雷爆発風災雪災等によって生じた建物や家財の損害を補償する保険です。地震噴火津波は補償の対象となりません。

保険の対象は建物・家財のほか、保険証書に記載された貴金属・骨董品等(明記物件といいます。)も対象とすることが可能です。

なお、軽過失による火災は失火責任法が適用され、不法行為責任は問われず、隣家に対して損害賠償責任を負いません。

保険の種類

代表的な火災保険は以下の2種類です。

  • 住宅火災保険:居住用の建物・収容された家財を対象とした保険です。火災落雷爆発風災雪災等のほか、消防活動による水濡れも補償の対象となります。
  • 住宅総合保険:住宅火災保険の補償内容を広げた保険です。給排水設備の事故による水漏れや盗難水害も補償の対象となります。

保険料支払い

保険金の支払われ方は以下の2種類です。

  • 実損てん補:損害額が保険金となる保険。全部保険が対象となります。
  • 比例てん補:保険金額と保険価額の割合で保険金が削減される保険。一部保険が対象となります。

地震保険

火災保険において地震噴火津波は補償の対象とならないため、こちらを補償する地震保険を火災保険に付帯することが可能です。

保険の対象は、居住用建物及びその家財のみです。(明記物件の設定が不可)

現金有価証券30万円を超える貴金属・宝石等は対象となります。

保険金

地震保険の保険金は火災保険の3050%以内で設定し、以下を上限に契約者が決定します。

  • 建物:5,000万円限度
  • 家財:1,000万円限度

また保険金は、損害の程度を全損100%保障)・大半損60%保障)・小半損30%保障)・一部損5%保障)の4区分に分け、支払われます。

保険料

地震保険の保険料は、地震発生率により各都道府県ごとに分類した後、建物の構造によってさらに分類され決められます。

免震構造であったり、耐震診断を受けた建物等には割引制度がありますが、割引制度の重複適用はできません。

自動車保険

自動車保険は、自動車事故による相手や搭乗者の死亡、器物破損等の補償を行う保険です。

強制加入の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)と任意加入の保険に分けられます。

自賠責保険

他人の死亡・障害・後遺障害等を補償の対象とした、強制加入の保険です。他人とは、運行供用者運転者以外を指します。

死亡につき最高3,000万円まで保険金が支払われます。対物保証は認められていません。

また、保険金の請求は加害者だけでなく被害者からも可能です。

対人賠償保険

他人を死傷させた場合、自賠責保険を超える金額について、補償される保険です。

他人とは、被保険者・運転中の者及びその父母配偶者以外を指します。

過失割合によって支払いが行われるため、保険金額は無制限として契約することが多いです。

人身障害補償保険

被保険者が死傷または後遺障害を負った場合に、保険金額の範囲内で損害額の全額が支払われる保険です。

過失割合に関わらず支払が行われるため、示談を待たずに保険料は支払われます。

車両保険

保険の対象となる車が、衝突・接触・災害・台風・盗難等の偶然の事故によって損害を受けた場合について、補償される保険です。

地震噴火津波による損害の場合は、特約がなければ補償されません。

政府保障事業

政府の自動車損害賠償保障事業では、自賠責保険に入っていない自動車が事故を起こした場合や、ひき逃げされたが相手の自動車が見つからない場合などに被害者を救済するための事業です。

人身事故による損害のみが補償の対象となります。

傷害保険

傷害保険とは、急激かつ偶然な外来の事故で怪我をした場合に、通院・入院等の費用が支払われる保険です。

普通傷害保険

ほとんどあらゆる事故による傷害を補償する保険です。障害を受けた場所は、国内外を問いません。

保険料は職業職種により区別され、危険度の高い職種の人ほど保険料が高くなります。

保障の対象を家族(配偶者・生計を共にする同居の親族・別居未婚)に広げたものを、家族傷害保険といい、事故発生時における家族が対象となります。

国内旅行傷害保険

日本国内旅行において被った傷害を補償する保険です。

細菌性食中毒による障害は特約なしで補償します。

海外旅行傷害保険

海外旅行において被った傷害を補償する保険です。

細菌性食中毒のほか地震噴火津波による傷害の場合は、特約なしで補償します。

賠償責任保険

賠償責任保険とは、偶然な事故により第三者の身体や現物に損害を与えた場合に、保険金が支払われる保険です。

個人が日常生活で賠償責任を負ってしまった時に補償するのが、個人賠償責任保険です。

本人だけではなく、生計を共にする配偶者同居親族別居未婚も被保険者となります。

なお、職務進行中の賠償事故は対象となりません。

企業向けの代表的な賠償責任保険としては、以下の3つが挙げられます。

  • 施設管理者賠償責任保険:工場・店舗等の各種施設や業務の欠陥による事故責任を補償
    例)レストランでウエイターが顧客の服にコーヒーをこぼした
  • 請負業者賠償責任保険:建設業者等請負業務の遂行に起因する責任を補償
    例)クレーンが倒れて隣地に直撃した
  • 生産物賠償責任保険PL保険):製造販売した製品の欠陥等の責任を補償
    例)レストランで出したメニューで食中毒が発生した
  • 工事保険:建物の着工〜完成までの間に発生した事故に対する責任を補償

税金

税額控除の対象となるものは地震保険料控除です。

控除額は、所得税で最高5万円、住民税で最高2.5万円(ただし支払額の1/2まで)

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