環境関連法
省エネ法
概要
『エネルギーの使用の合理化等に関する法律』の略称。
エネルギー効率を高めることを目的として、エネルギーに関するルールや規制を定めたものです。
1979年に制定、2015年に『建築物省エネ法』として法改正され、
法改正では、新築・増改築の建築物に対する省エネ基準が義務化されました。
規制内容
全体の1年間のエネルギー使用量が原油換算値1,500kl以上の事業者に対して、以下の規制が課されます。
- エネルギー使用量を事業者単位で国に届け出、特定事業者の指定を受ける
- エネルギー管理体制を確立し、エネルギー管理統括者には役員クラスの者を選任する
- 中長期的に見て年1%以上のエネルギー消費を低減する
事業者としての届出や届出者の選任を怠った場合には、罰則を受けます。
用語
- 原油換算
電力や都市ガスの使用量(二次エネルギー)を石炭石油等、自然のまま消費されるエネルギー(一次エネルギー)の値に変換をして、原油換算係数0.0258kl/GJを乗じて換算することです。
- 第一種・第二種エネルギー指定管理工場
全体の1年間のエネルギー使用量が3,000kl以上の場合は『第一種エネルギー指定管理工場』、
1,500〜3,000kl未満の場合は『第二種エネルギー指定管理工場』とされます。
- トップランナー制度
より高い目標設定をした、エネルギー消費事業者に対して適用される制度です。
3〜10年後に目標年度を設定して、水準を満たしているか、国が達成状況を確認しています。
建築物省エネルギー法
概要
建築物のエネルギー消費量が増えている状況を鑑み、建築物のエネルギー消費性能の向上を目的として作られた法律です。
規制内容
①非住宅部分の面積が300㎡以上の特定建築行為をする、または非住宅部分の面積が2,000㎡以上の特定建築物
- 建築物エネルギー消費性能基準を満たす必要あり(適合義務)
※特定建築行為:特定建築物の新築・増改築を行う場合、または特定建築物以外の建築物を増築して特定建築物となる場合
基準を満たしていない場合、建築確認済証の交付を受けることができません。
②300㎡以上の建築物の新築・増改築をする場合
- エネルギー消費性能確保のための計画を届出する必要があり(届出義務)
- 工事着手の21日前までに管轄行政庁に対して届出をする
②300㎡未満の建築物の新築・増改築をする場合
- 建築物エネルギー消費性能基準を満たすよう努力する必要あり(努力義務)
優遇措置
建築物の省エネ性能向上計画を立て、基準を満たしていると認定されると、以下の優遇措置を受けることができます。
- 内容:省エネ設備を床面積から一部不算入にできる
- 対象面積:通常の建築物の床面積を超える部分
- 不算入の限度面積:10%
エコまち法
概要
『都市の低炭素化の促進に関する法律』の略称。
都市部における二酸化炭素の排出を、抑制するための法律です。
優遇措置
低炭素建築物新築等計画を立て、基準を満たしていると認定されると、以下の優遇措置を受けることができます。
- 内容:低炭素化設備(蓄電池等)を、床面積を一部不算入にできる
- 対象面積:通常の建築物の床面積を超える部分
- 不算入の限度面積:延床面積の1/20
フロン排出抑制法
概要
『フロン類の使用の合理化及び管理の適性化に関する法律』の略称。
オゾン層の破壊を引き起こすフロンガスの排出を、抑制するための法律です。
規制内容
フロン使用機器の管理者に対して、以下の規制が課されます。
- 簡易点検:全ての第一種特定製品(業務用の冷凍空調機)に対して、3ヶ月に1回行う
- 定期点検:機器に対して知見のある者が、7.5kw以上の機器等に対して、年に1回程度行う
- 報告:1年間で1,000t-CO2を超える漏洩があった場合、漏洩量の報告を行う
土壌汚染対策法
概要
土壌汚染の状況調査・土壌汚染地域の設定を目的とした法律です。
規制内容
土壌汚染対象施設の土地の所有者等のに対して、以下の規制が課されます。
- 汚染状況を指定調査機関に調査させる
- 調査結果を、都道府県知事に報告する
- 汚染状態が基準を超えている区域(要措置区域)は、土地の形質変更が禁止される
PCB処理特別処置法
概要
特別管理産業廃棄物であるPCB(ポリ塩化ビフェニル)の保管状況の届出・適正な処分を、義務付けるための法律です。
PCBを利用している代表的な機器は、トランス・コンデンサー・蛍光灯安定器等です。
規制内容
PCB廃棄物を保管する事業者に対して、以下の規制が課されます。
- PCB廃棄物を2027年度末までに処分する
- 保管・処分の状況を、1年に1回都道府県知事に届け出る
リサイクル関連法
小物家電リサイクル法
パソコン・携帯電話・デジタルカメラ等の再資源化を促進するための法律です。
家電リサイクル法
エアコン・テレビ・冷凍庫冷蔵庫・洗濯機・衣類乾燥機のリサイクルを促進するための法律です。
環境ラベリング制度
建築物を建設・運営する際に、「環境配慮がされているか」という点が投資を受ける上でも重視されてきています。
政府が様々な観点で環境ラベリング制度を設立しており、要件を満たした建築物は認証を受けていることを対外にアピールできるようになっています。
CASBEE
Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiencyの略、建築物環境総合性能評価システム。
建築物の環境性能を評価・格付けするシステムです。
環境負荷の少ない資材を使用しているか、快適性・景観への配慮もされているか等、総合的に評価されます。
また、さらに従業員の健康や快適性を重視したCASBEE-WO(Wellness Office)も2019年に登場しています。
BELS
Building-housing Energy-efficiency Labeling Systemの略、建築物省エネルギー性能表示制度。
建築物の省エネ性能に、特化した認証制度で、性能に応じて★マークが5段階表示されます。
LEED
Leadership in Energy and Environmental Designの略、建築物環境性能認証システム。
建築物の環境性能を評価するシステムで、米国グリーンビルディング協会が開発し世界で広く運用されています。
「グリーンビルディング」の評価基準の確立や、定義の明確化を目的としています。
WELL認証
WELL building standardの略。
入居者の健康や快適性に焦点を当てて、建築物を評価する制度です。
GRESB
Global Estate Sustainability Benchmarkの略。
建築物を保有する不動産会社や不動産運用ファンドを対象としたラベリング制度です。
世界標準規格(ISO)
International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略。
スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関ISOで定められた認証を取ることにより、「環境に配慮している」ことを対外にアピールすることも可能です。
ISOの主な活動は国際的に通用する規格を制定することであり、「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という理念の元、国際的な基準を作っています。
ISO14000
環境マネジメントシステムが構築できているかを審査する規格です。
環境負荷を削減できるような組織を作っているか、PDCAを回しながら継続的な改善ができているか、外部機関の審査を受けて、認証を得ることができます。
ISO50001
エネルギー管理に特化した規格です。
温室効果ガスの削減等を行うためのシステムが確立されているか、審査を受けて認証を得ることができます。
その他環境目標
SDGs
Sustainable Development Goalsの略。持続可能な開発目標。
2030年までに解決すべき世界の共通課題を、目標化したものです。
企業価値向上のため、経営戦略に取り込む企業が増えています。
ESG投資
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の要素を考慮した投資です。
財務諸表だけではなく、環境や社会に配慮して事業を行い、適切なガバナンス(企業統治)がなされている会社に投資しようという取り組みです。
長期的なリターンを生む先と見なされることが増えたため、経営戦略に取り込む企業が増えています。
カーボンニュートラル
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることです。
日本では、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロとするカーボンニュートラル宣言がなされた。
対応方法として、再生可能エネルギーの利用率を高めることが挙げられています。