贈与とは
贈与とは、無償で財産等を与える契約のことです。
贈り主が贈与する意思を示し、受取人が受贈する意思を示して初めて成立します。
贈与は口頭または書面で行われますが、財産取得の時期は以下の通りです。
贈与の方法 | 財産取得の時期 |
口頭 | 贈与の履行があった時 |
書面 | 贈与契約の効力が生じた時 |
特殊な贈与
贈与の特殊な形態としては、以下の3種類があります。
- 定期贈与:定期給付を目的とする贈与です。
- 負担付贈与:贈与の代わりに贈与者の債務の一部を負担させる贈与等です。課税価格は贈与品の種類により異なります。
- 土地・家屋の場合:取引価格に相当する金額ー負担額
- その他の場合:相続税評価額ー負担額
- 死因贈与:贈与者の死亡により効力を生じる贈与です。遺贈と同様に相続税の対象となります。
贈与税の計算
贈与税は以下の順序で計算します。
- 課税価格の計算
- 納付贈与税額の計算
課税価格
課税価格は、『贈与財産ー非課税財産』で求めることができます。
贈与財産を低額で譲り受けた場合は、取引価額を用いて計算されます。
また、離婚による財産分与は贈与財産となりません。
非課税財産は、生活費・教育費等、日常生活に必要な費用が該当します。
納付贈与税額
納付贈与税額は、『課税価格ー配偶者控除ー基礎控除(110万円)』に税率をかけたものです。
配偶者控除の適用条件は、以下の通りです。
- 贈与財産:婚姻期間が20年以上の配偶者から取得した居住用不動産、取得のための金銭
- 同じ配偶者から以前に贈与を受けていないことが前提
- 婚姻期間は切り上げが不可能
- 条件:取得した年の翌年3月15日までに居住する
- 控除額:2,000万円
また、税率は一般税率と特例税率があります。
特例税率は、直系尊属から特例贈与財産を贈与された場合で、受贈者が1月1日時点で18歳以上である場合に、適用されます。
非課税制度
直系尊属から受けた贈与は、用途により非課税となります。
- 住宅取得資金:受贈者の贈与を受けた年の所得が2,000万円以下の場合、1,000万円まで非課税
- 教育資金:受贈者の贈与の前年の所得が1,000万円以下の場合、1,500万円まで非課税
- 教育資金:受贈者の贈与の前年の所得が1,000万円以下の場合、1,000万円まで非課税
相続時精算課税制度
60歳以上の人から18歳以上の子・孫へ贈与をする場合に、適用可能な制度です。
(年齢は贈与のあった年の1月1日時点の年齢です。)
- 非課税枠2,500万円が控除され、超える部分の贈与税率は一律20%
- 手続き期間:贈与翌年の2月1日〜3月15日
(暦年課税に戻ることは不可能です。) - 対象財産:制限なし
申告と納付
申告
相続人は、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までに、相続税の申告書を提出する必要があります。
提出先は、受贈者の住所地の所轄税務署長です。
納付
贈与税は原則、金銭で一括納付しなければなりませんが、困難な場合は延納が認められています。
物納は、認められていません。