不動産とは土地及びその定着物(建物)のことをいいます。
不動産取引
土地の価格
土地の価格には実際の取引価格の他に、以下の4種類の公的価格があります。
- 公示価格:土地取引の指標のための価格で、1年ごとに1月1日に国土交通省が発表
- 基準値標準価格:公示価格の補完のための価格で、1年ごとに7月1日に都道府県が発表
- 路線価:相続税等の課税のための価格で、1年ごとに1月1日に国税庁が発表
- 固定資産税評価額:固都税等の課税のための価格で、3年ごとに1月1日に市町村が発表
鑑定評価手法
不動産の価格を決めるためには、不動産鑑定が必要ですが、鑑定手法は以下の3種類があります。
- 原価法:対象の再調達原価(新築時を想定した価格)を求め、減価修正を行い、不動産の積算価格を求める手法
- 取引事例比較法:多数の取引事例を収集し個別要因の比較を行い、不動産の比準価格を求める手法
- 収益還元法:将来生み出すと期待される純収益の総和を求める手法
登記
不動産登記とは、法務局の不動産登記記録に、不動産の情報を公示することです。
登記をすることで、自分の不動産所有権を、第三者に対して主張することができます。
登記記録は、以下の構成となっています。
- 表題部:所在・地番等の表示に関する登記を記録
- 権利部
- 甲区:所有権の保存・移転、差押等、所有権に関する権利を記録
- 乙区:抵当権・賃借権等、所有権意外に関する権利を記録
表題登記は取得・変更から1ヶ月以内に登記することが義務付けられていますが、権利関係の登記は義務ではありません。
契約の依頼
土地や建物の売買・賃貸の仲立ちを、宅地建物取引士にお願いすることを、媒介と言います。
媒介契約には以下の3つの種類があります。
- 一般媒介契約:他の業者に重ねて依頼したり、自分で取引しても問題がない契約
有効期限は定められておらず、報告義務はない - 専任媒介契約:他の業者に重ねて依頼はできないが、自分で取引しても問題がない契約
有効期限は3ヶ月で、2週間に1回以上の報告義務がある - 専属専任媒介契約:他の業者に重ねて依頼することも、自分で取引することも認められない契約
有効期限は3ヶ月で、1週間に1回以上の報告義務がある
不動産法規
借地借家法
土地や建物の賃貸借について定めた法律で、借主(借地権)の保護を主な目的としています。
借地権とは、建物の所有を目的とする地上権・土地の賃借権を保護するものです。
例えば、青空駐車場にする目的では借地借家法は適用されません。
借地権には、以下の種類があります。
- 普通借地権:更新のある借地権。存続期間は30年以上で設定。
- 定期借地権:期間の定めがあり、更新されない借地権
- 一般定期借地権:50年以上の期間を定める借地権。契約は公正証書等の書面で行う。
- 事業用定期借地権:10年以上50年未満の期間を定め事業目的で使用される借地権。契約は公正証書で行う。
- 建物譲渡特約付借地権:30年以上の期間を定め、期間満了後借地上の建物を譲渡するという特約付きの借地権。契約方式に制限なし。
税金
不動産取得時
不動産取得税
不動産を取得に対して課される税金で、登記の有無、取引が有償か否かに関わらず課されます。
不動産取得税は、地方税(都道府県)・直接税であり、納税方式は賦課課税方式を採用しています。
不動産取得税=不動産価格(課税標準額)*税率
- 不動産価格のうち、土地の課税標準価格は取得額*1/2
- 税率は土地・住宅家屋の場合:3%、非住宅家屋の場合:4%
※2023年度
相続は非課税対象となります。(贈与は課税)
特例制度として、新築住宅を取得した際に1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)の控除を受けることができます。
登録免許税
不動産登記に対して課される税金です。
登録免許税は、国税・間接税であり、納税方式は申告納税方式を採用しています。
税率は以下の通りです。
- 売買・贈与等の原因による移転:2%
- 相続または法人合併による移転:0.4%
- 表示の登記:非課税
印紙税
対象となる文書を作成した時に課される税金です。
不動産保有時
固定資産税
毎年1月1日に固定資産を所有している人に課される税金です。
固定資産税は、地方税・直接税であり、納税方式は賦課課税方式を採用しています。
税率は、各市町村が定めることが可能です。
課税標準は固定資産課税台帳に登録されている価格で、3年ごとに見直しが行われています。
特例制度としては、小規模住宅用地に関する課税標準の減額制度があります。
- 200㎡以下の住宅は1/6
- 200㎡を超える住宅は1/3
- 新築住宅は120㎡までの部分が1/2
都市計画税
都市計画事業等の費用に充てるため、市街化区域に土地や家屋を所有する人に対して課される税金です。
固定資産税は、地方税・直接税であり、納税方式は賦課課税方式を採用しています。
税率は、各市町村が定めることが可能ですが、0.3%以上を設定することはできません。
譲渡所得税
土地や建物を譲渡された場合、譲渡所得税がかかります。
所得税についての詳細は、所得税の基礎知識に関する記事をご参照ください。
譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下のものを短期譲渡所得、5年を超えるものを長期譲渡所得といいます。
特例制度としては、以下があります。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 所有期間:定めなし
- 居住しなくなってから3年後の年末までに売却
- 2年前までにこの特例を受けていない
- 譲渡配偶者・直系血族・生計を共にする人への譲渡ではない
- 14%(所得税10%、住民税4%)の軽減税率
- 所有期間:10年超
- 6,000万円以下の部分に適用
- 居住用財産を買換えた場合の3,000万円特別控除
- 所有期間:10年超かつ居住期間10年超
- 資産額1億円以下
- 床面積50㎡、敷地面積500㎡以下
- 相続により空き家を取得した場合も、3,000万円控除を受けることが可能です。
1・2は重複して適用が可能です。