社会保険とは、国民の生存権を保障し社会福祉等の向上を図るために、国が責任を持ち運営する制度です。
社会保険は、医療保険・介護保険・年金保険・労働保険(労災保険・雇用保険)に分けることができます。
医療保険
会社員や公務員等が加入する被用者保険(健康保険・共済保険等)と自営業者が加入する国民健康保険に分けることができます。
健康保険
各事業所に使用される雇用労働者を被保険者とする保険制度です。
業務外の疾病・負傷・出産・死傷について保障されます。
保険者(運営者)
健康保険の事業を運営する保険者は2種類あります。
- 組合健保:大企業で働く人を対象としており、健康保険組合が窓口。
- 協会けんぽ:中小企業で働く人を対象としており、都道府県支部の年金事務所が窓口。
被保険者(加入者)
適用事務所に勤務する75歳未満の者は全て、健康保険に加入することになっています、
パートタイマーは、週の所定労働時間または月の所定労働日の3/4以上あれば、被保険者になります。
短時間労働者は、従業員数が100人を超える事務所の勤務者または、以下の全ての要件を満たす労働者が健康保険に加入ができます。
- 月額賃金が88,000円以上
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 2ヶ月を超える雇用が見込まれる
- 学生でない
また三親等内の同居している親族であれば、年収が130万円未満かつ加入者の年収の1/2未満の場合、扶養者として健康保険に入ることも可能です。
任意被保険者
退職した被保険者が所定の条件を満たした場合、2年間被保険者の権利を継続できる制度です。
保険料は全額被保険者の負担となり、出産手当金と傷病手当金を受給する権利はありません。
任意継続被保険者となるための要件は、以下の通りです。
- 資格喪失前に継続して2年間勤務していたこと
- 資格喪失後20日以内に申請をすること
保険料
保険料は、事業主と被保険者が折半する労使折半を採用しています。
育休・産休期間中は保険料が免除されます。
給付金
- 療養給付:業務外の事由による疾病等に給付されます。被保険者負担は3割で、70歳以上と小学校入学前の児童は2割負担です。
- 高額療養費:高額な自己負担が発生した際に、一定の金額が払い戻される制度です。月額報酬額に応じて自己負担限度額が定められています。
- 傷病手当金:病気・怪我で報酬が受けられない場合に給付されます。
- 支給開始日:3日以上休んだ場合に、4日目から
- 支給終了日:支給されることとなった日から1年6ヶ月後
- 支給額:支給開始日前12ヶ月間の月額報酬の平均を30日で割った2/3の額
- 出産手当金:出産のために報酬が受けられない場合に給付されます。
- 支給期間:出産前42日前から出産後56日後まで
- 支給額:支給開始日前12ヶ月間の月額報酬の平均を30日で割った2/3の額
国民健康保険
自営業者や定年退職者等の、健康保険の被用者保険の対象者とならない人向けの保険です。
保険者(運営者)は都道府県・市区町村等で、被保険者はその市区町村に住所がある人全てです。
保険料は市区町村ごとに決められており、全額が被保険者負担となります。
後期高齢者医療制度
75歳以上が対象となる医療保険制度です。
保険料は原則として年金から天引きされ、1〜3割が被保険者負担となります。
保険者(運営主体)は、都道府県単位で設立された後期高齢者医療広域連合です。
介護保険
高齢になって介護が必要になった時、医療サービスを提供する保険です。
被保険者
介護保険制度では被保険者を以下の2つに分けています。
- 第1号被保険者:65歳以上の全ての人。原因を問わずサービスを受けることができます。
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の全ての人。交通事故・労災事故が原因の場合サービスを受けることができません。
保険料
第1号被保険者は年金からの天引き、第2号被保険者は医療保険者から徴収されます。
第2号被保険者で健康保険に加入している人は、所得に保険料率(全国一律で設定されています)をかけたものを労使折半で負担します。
給付金
給付としては介護給付・予防給付等があり、給付を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。
給付を受けるためには、市区町村から要支援1・2または要介護1〜5の認定を受ける必要があります。
利用者負担は原則1割ですが、所得に応じて2〜3割負担となる場合もあります。
ケアプラン(介護サービ計画)の作成は無料・利用者負担が上限額を超えた場合には、高額介護サービス費用が支払われます。
労災保険
労働者が業務上または通勤途中で負傷・病気・怪我・死亡した際に補償される保険です。
正社員だけではなくアルバイト・パートタイマー等、全ての労働者が対象となります。
自営業者や法人の代表者・役員、公務員は対象外となります。
労災保険料は事業主が全額負担しており、利用者負担はなしとなっています。
雇用保険
労働者が失業した場合に、給付を行なったり再就職を支援するための制度です。
求職者給付
働く意思のある人が、失業の状態にある時に受けることができる給付です。
- 支給要件:離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上ある
ただし、特別受給資格者(倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕のなかった人)の場合、離職の日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上 - 受給期間:離職した日の翌日から1年間。
だだし、出産・傷病・起業等の事情がある場合、最長で3年間延長が可能。 - 給付制限:申込〜7日間は給付がされない。自己都合退職の場合は、2〜3ヶ月間給付がされない。
- 所定給付日数(給付が受けられる日数):勤務年数によって決定(20年以上の場合150日)
- 給付頻度:4週に1回
高年齢求職者給付
65歳以上の人が離職した場合、被保険者であった期間に応じて支払われる一時金です。
教育訓練給付
厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講・修了した場合、費用の20%(上限10万円)が支給される制度です。
被保険者期間が3年以上であることが要件となっています。
高年齢雇用継続給付
高齢者の雇用の継続を支援・促進することを目的とした給付で、現在支払われている賃金の15%が上限となっています。
受給要件は以下の通りです。
- 被保険者期間が5年以上
- 60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者である
- 賃金額が60歳到達時の賃金額の75%未満
介護休業給付
家族の介護のために休業する人に対する給付で、90日を限度に3回まで支給されます。
育児休業給付
原則として1歳未満の子の育児のために休業する人に対する給付です。
休業開始時の月額賃金の67%、休業開始後181日以降は50%が支給されます。
コメント