概要
不動産特定共同事業法(不特法)とは、不動産小口化商品の投資家を保護するために1995年に施行された法律です。
対象事業
不特法の対象となる事業は、4つに分類されます。
- 第一号事業:自身で不動産を取得し、不動産取引の収益・利益の分配を行う
- 第二号事業:第一号事業に関する契約締結の代理・媒介を行う事業
- 第三号事業:特例事業者の委託を受けて、不動産取引に係る業務を行う事業
- 第四号事業:特定事業者が当事者となる、不動産特定共同事業契約の締結の代理・媒介を行う事業
不動産特定共同事業の普及
特例事業とは
特例事業の制度は、2013年の不特法の改正によってできました。
制度ができる前は、第一号事業者となるためには、宅建業の免許を取得し主務大臣または都道府県知事の許可を得る必要がありました。これではSPCが事業者となることが実質的に不可能であるため、SPCを利用した不動産証券化のスキームを使うことができませんでした。
特例事業が創設されたことにより、以下の条件を満たす適格特例投資家限定事業に限り、不特法の許可不要で事業を行うことができるようになりました。
- 投資家が適格特例投資家(不動産投資に係る専門的知識や経験を持つと認められた人)のみであること
- 特例事業者(SPC等)が適格特例投資家限定事業者になる届出をすること
適格特例投資家とは、銀行・信託会社不動産特定行動事業者・認可宅地建物取引業者・不動産投資顧問業者・金融用品取引法上の特定投資家等です。
また、第一号事業者は資本金を1億円準備する必要がありましたが、第三号事業者は5,000万円が要件となっています。
小規模不動産特定事業
2017年の法改正で、不動産特定共同事業者の要件が更に緩和されました。
その一つが、小規模不動産特定事業という制度です。
事業参加者ごとの出資額が100万円、出資総額が1億円を超えない事業を指しており、この事業の認定を受ければ、不特法の許可は不要です。(5年ごとの更新登録制)
また、2017年の法改正では、クラウドファンディングに対応した環境整備も盛り込まれました。
不動産特定共同事業の種類
不動産特定共同事業は、契約の種類によって、以下4つに分けることができます。
- 任意組合型
- 匿名組合型
- 賃貸委託型
- 外国型
最も多いケースは、匿名組合型です。
賃貸委託型は、事業者と投資家が不動産の共有をし、投資家が事業者に不動産を賃貸または賃貸の委任をするスキームとなります。
賃貸の委任とは、事業者が不動産を第三者に転貸する場合などです。
事業者が自ら事業を行う場合は、不特法の対象とはならないため注意が必要です。
不特法の義務・規制
契約締結時の義務
不動産特定共同事業者に対して、不動産特定共同事業契約を締結する際、以下の義務が課されます。
- 契約の成立前後に、契約書面・財務管理報告書の配布
- 上記書面への記名・押印
業務管理者の配置義務
不動産特定共同事業者に対して、事務所ごとに業務管理者を設置することを義務付けています。
業務管理者とは、宅地建物取引士かつ以下の条件のいずれかを満たす人を指します。
- 3年以上の不動産特定共同事業の実務経験者
- 主務大臣が指定する実務講習修了者
- 登録証明事業として、国土交通大臣の登録を受けたものによる証明を受けている者
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