概要
特定目的会社とは、資産流動化法という法律に基づいて設立された、不動産証券化(=特定の目的)を行うために設立されたSPVのことです。
特定目的会社は不動産証券化に関わる業務や、そちらに紐づく付帯業務しか行うことができないという特徴があります。
業務内容は、業務を開始する前に提出する資産流動化計画という計画書に厳密に定められています。
TMKスキーム
特定目的会社(TMK)をSPVとする、不動産証券化の仕組みをTMKスキームと言います。
SPVについては、以下の記事で解説しています。
図示すると以下の通りです。
TMKスキームの特徴は以下の通りです。
- 特定目的会社は不動産を直接管理することができず、特定資産管理処分受託者という第三者に委託する必要がある
- 資金調達の方法は、特定借入・特定社債の発行などに限られる
不動産が、現物ではなく信託受益権であった場合のスキームは以下の通りとなります。
信託受益権の場合は、信託銀行が賃借人との間に入って運営が行われるため、
特定資産管理処分受託者の設置は必要ありません。
TMKスキームのメリット・デメリット
TMKスキームは、以下のメリットがあります。
- 現物の不動産を取得できる
- 社債を発行して、資金調達ができる
上記はGK-TKスキームにはない特徴です。こちらのスキームについての詳細は以下の記事を参照ください。
一方でTMKスキームは、あらかじめ資産流動化計画を定める必要があるため、柔軟性に欠けるというデメリットがあります。
TMKスキームにおける投資家
デッド投資家
特定目的会社におけるデッド投資家は、特定借入・特定社債等の引受人のことを指します。
デッド投資家は、金融機関または適格機関投資家のみと定められています。
エクイティ投資家
特定目的会社におけるエクイティ投資家は、特定目的会社の社員となり、運営を行う人を指します。
社員は、特定出資をした特定社員と、優先出資をした優先出資社員に分かれます。
どちらの社員も、出資額の範囲で運営に対する責任を負います。
社員の違い
権限の幅としては、特定社員>優先出資社員となります。
特定目的会社は、社員総会の決議で承認された内容をもとに、運営されますが、
優先出資社員は、社員総会における議決権を持ちません。
社員総会の決議事項の一例は、以下の通りです。
- 取締役・監査役の選任・解任
- 決算の承認
ただし、定款で定める場合には、優先出資社員もみなし賛成制度という議決権行使ができる場合があります。
TMKの設立要件
特定目的会社の設立は以下の流れで行われます。
上記の流れの中でも、特定会社の設立要件となる事項は以下の通りです。
- 資産流動化計画の策定
- 業務開始届の提出
- 特定出資の引き受け(優先出資の引き受けは任意です。)
- 取締役・監査役、それぞれ1名以上の選任
その他
資産の追加取得が可能か
TMKスキームにおいては、基本的には特定目的会社設立時に策定した、資産流動化計画に定められていること以外の業務を行うことができませんが、以下の条件を満たせば、資産を追加で取得することができます。
- 利害関係者全員の承諾があること
- 資産が信託受益権など、現物の不動産ではないこと
金商法の取り扱い
自己募集可能、自己運用業には当たらない